「修辞」という思想
章炳麟と漢字圏の言語論的批評理論

著者
林 少陽
定価
5,060円(本体4,600円)
体裁
四六判上製、384頁
ISBNコード
978-4-7684-7927-8
発売日
2009年11月
ジャンル
在庫
有り

内容紹介

東アジア漢字圏の批評理論は可能か
東アジア漢字圏の批評理論は可能か。日本の荻生徂徠、夏目漱石、中国前近代と近代の転換期を生きた章炳麟の言語理論を詳しく辿りながら、漢字圏の批評伝統より「辞を修め、其の誠を立つる」という理念を復活させ、近代化が抑圧してきた「文」の脱構築的機能の再生をめざす意欲的論考。

著者略歴

林 少陽(Lin Shaoyang)〔*本書刊行時の略歴です〕
1963年、中国広東省生まれ。1983年、廈門大学卒業。吉林大学修士課程修了後、会社員として勤務する傍ら、研究と創作を続ける。1999年留学で来日、大阪大学研究生、東京大学総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程、東京大学助手を経て2006年から東京大学教養学部特任准教授。学術博士。著書に『「文」与日本的現代性』(北京:中央編訳出版社、2004年)、論文に、『「イロニー」と「文」:西脇順三郎の詩学理論を手がかりに』(博士学位論文、2006年)、「外国の視点から見た西脇順三郎の「イロニー」の詩論」(「三田文学」2008年冬季号)ほか多数。

目次

序 論 漢字圏批評理論のために
第Ⅰ部 漢字圏批評概念としての「文」と「修辞」
夏目漱石『文学論』、荻生徂徠「古文辞学」、章炳麟の言語論・文学論を手がかりに、漢字圏における独自の批評概念としての「文」と「修辞」の復権を図る。
第Ⅱ部 近代中国の文脈における音声中心主義──「文」と「修辞」の衰弱として
歌謡徴集運動、白話文運動、新民歌運動などを例に、近代中国の言語思想の変遷史を通して文学と政治、言語と倫理の関係を考察。
終 章 「和而不同」・君子=他者の共和国へ──アーレントと章炳麟