極楽の人数
高木顕明『余が社会主義』を読む

著者
菱木政晴
定価
1,980円(本体1,800円)
体裁
四六判並製、176頁
ISBNコード
978-4-7684-7944-5
発売日
2012年1月
ジャンル
在庫
有り

内容紹介

明治の思想弾圧事件「大逆事件」に連座し、死刑判決を受けた真宗僧侶・高木顕明の尋問調書に、『余が社会主義』と題された短い文書が残されていた。念仏を唱える人は「極楽の人数(にんじゅ)」だと言い、「南無阿弥陀佛を唱へて生存競争の念を離れ共同生活の為めに奮励せよ」と説くこの文書を、親鸞『教行信証』と対比させながら読み解き、非戦と平等を訴える顕明のラディカルな親鸞理解を明らかにする。

著者略歴

菱木政晴(ひしき まさはる)
1950年金沢市生まれ。宗教学者、真宗大谷派僧侶、同朋大学特任教授。長年にわたり真宗大谷派の戦争責任を追及すると同時に政教分離訴訟などの平和と人権の市民運動にも関わる。著書に、『浄土真宗の戦争責任』(岩波ブックレット)、『解放の宗教へ』(緑風出版)、『非戦と仏教』、『市民的自由の危機と宗教』、『ただ念仏して』(以上、白澤社)、『殉教と殉国と信仰と』(共著、白澤社)など。翻訳書に、ホワイトヘッド『観念の冒険』(松嶺社)など。

目次

序  高木顕明と『余が社会主義』──社会批判としての信心
本論 極楽の人数
一、「極楽の人数」/二、高木顕明の社会主義/三、阿弥陀仏とは何か、極楽とはどういうところか/四、念仏申さんという心の起こるとき/五、社会批判としての信心──第四章・思想の回転/六、専修念仏は社会主義である──第五章・実務行為/七、「思想の回転」──『余が社会主義』と「精神主義」/八、おわりに──親鸞の手紙
補論 高木顕明『余が社会主義』と親鸞『教行信証』

書評/紹介情報

『図書新聞』2012年2月18日:「真宗信仰から「非戦と平等」を実践した高木顕明の思想がいま甦る」(評:三輪智博)