シンポジウム記録 「慰安婦」問題の解決に向けて
開かれた議論のために

著者
志水紀代子・山下英愛[編]
定価
2,860円(本体2,600円)
体裁
四六判並製、272頁
ISBNコード
978-4-7684-7947-6
発売日
2012年9月
在庫
有り

内容紹介

「慰安婦」問題の混迷を乗り越えるために
いまだ解決しない「慰安婦」問題。「国民基金」をきっかけに分断され停滞した運動……。これまで一堂に会することのなかった6名のパネリストと、会場の参加者もまじえて厳しい議論が交されたシンポジウムの全記録。
パネリスト=鄭柚鎮/花房恵美子/和田春樹/岡野八代/朴裕河/戸塚悦朗

著者略歴

【編者】志水紀代子(しみず きよこ)
1940年生まれ。追手門学院大学名誉教授。「女性・戦争・人権」学会元代表。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、同大助手を経て追手門学院大学講師・助教授・教授を経て2011年退職。カントの実践哲学から晩年の歴史哲学を経てハンナ・アーレントの政治思想の研究をライフワークにする。
著書に『家族の倫理学』(丸善、2007)。『ジェンダー化する哲学』(共編著、昭和堂、1999)など。訳書に『ハンナ・アーレントとフェミニズム』(B・ホーニッグ編、共訳、未来社、2001)、『意識と自然』(曺街京著、監訳、法政大学出版局、1994)など。
【編者】山下英愛(ヤマシタ ヨンエ)
津田塾大学で国際関係学を、梨花女子大学で女性学を学ぶ。博士(国際関係学)。立命館大学非常勤講師。
著書に『ナショナリズムの狭間から──「慰安婦」問題へのもう一つの視座』(明石書店、2008)。訳書に韓国女性ホットライン連合編『韓国女性人権運動史』(明石書店、2004)、権仁淑『韓国の軍事文化とジェンダー』(御茶の水書房、2006)、金蓮子『基地村の女たち──もう一つの韓国現代史』(御茶の水書房、2012)など。2009年から韓国ドラマを題材とする講演や執筆活動を行なっている。
【執筆者】
鄭柚鎮(チョン ユジン) 〔2章〕
沖縄大学地域研究所特別研究員。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了(2011)。同大学文学博士学位取得(2012)。
花房恵美子(はなふさ えみこ) 〔3章〕
1948年生まれ。福岡在住、精進自然食料理屋「花ふさ」自営。92年より関釜裁判を支援、93年より「関釜裁判を支援する会」事務局。裁判終了後、「早よつくろう!『慰安婦』問題解決法・ネットふくおか」設立。2010年に「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動2010」を全国の人々と共に発足させ、活動している。
和田春樹(わだ はるき)〔4章〕
1938年生まれ。東京大学西洋史学科卒業。東京大学名誉教授。東京大学社会科学研究所に勤務、98年退職。大泉市民の集い代表、日韓連帯連絡会議事務局長、女性のためのアジア平和国民基金専務理事を務め、現在、日朝国交促進国民協会事務局長。
岡野八代(おかの やよ)〔5章〕
同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教員。『法の政治学──法と正義とフェミニズム』(青土社、2002)以来、西洋政治思想史とフェミニズム理論のあいだで、「慰安婦」問題をめぐる法と正義の議論を展開。
朴裕河(パク ユハ)〔6章〕
日本近代文学研究者。世宗大学(韓国)日本文学科教授。文学の言葉に耳をすませながら、帝国主義と冷戦で傷ついたアジアの歴史和解への道を模索している。
戸塚悦朗(とつか えつろう)〔7章〕
1942年生まれ。博士(国際関係学)。英国王立精神科医学会名誉フェロー。元弁護士。龍谷大学(法学部・法科大学院教授。2010年定年退職)。国際人権法政策研究所事務局長。JFORジュネーブ国連首席代表。

目次

まえがき(山下英愛)
1 開会の挨拶──アーレントの“世界愛”から照射する東北アジアの和解の条件(志水紀代子)
2 「国民基金」をめぐる再現の政治学(鄭柚鎮)
3 関釜裁判を支援して──原告ハルモニたちとの二〇年を振り返って(花房恵美子)
4 慰安婦問題二〇年の明暗(和田春樹)
5 修復的正義──国民基金が閉ざした未来(岡野八代)
6 問題はどこにあったか──日本の支援運動をめぐって(朴裕河)
7 和解の条件──真実とプロセス(戸塚悦朗)

書評/紹介情報

『出版ニュース』2012年11月上旬号 Book Guide コーナーで紹介
『ふぇみん』2012年11月15日booksコーナーで紹介