歎異抄の近代

著者
子安 宣邦
定価
3,740円(本体3,400円)
体裁
四六判上製、336頁
ISBNコード
978-4-7684-7955-1
発売日
2014年8月
ジャンル
在庫
僅少

内容紹介

「善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」の言葉で有名な親鸞『歎異抄』は、教科書にも必ず載っている日本の名著。明治以降、くりかえし語り直されてきた『歎異抄』は近代日本人によってどのように受けとられてきたのか。本書は、日本思想史の第一人者である著者が、清沢満之から暁烏敏、倉田百三、三木清などを経て、戦後の野間宏、吉本隆明らによる『歎異抄』論を読み解き、日本人にとって『歎異抄』とは何かを問い直す

著者略歴

子安 宣邦(こやす のぶくに)
1933年生まれ。日本思想史家。東京大学大学院人文科学研究科(倫理学専攻)終了。大阪大学名誉教授。日本思想史学会元会長。主な著書に、『本居宣長』『漢字論』『思想史家が読む論語』(岩波書店)、『鬼神論』『日本ナショナリズムの解読』(白澤社)、『伊藤仁斎の世界』『平田篤胤の世界』(ぺりかん社)、『「アジア」はどう語られてきたか』『昭和とは何であったか』(藤原書店)、『国家と祭祀』『「近代の超克」とは何か』『和辻倫理学を読む』『日本人は中国をどう語ってきたか』(青土社)ほか。

目次

第1章 清沢満之をどう読むべきか
第2章 「精神主義」的〈信〉の表明──清沢満之『精神主義』を読む
第3章 清沢はなぜ儒家的〈公〉をいうのか──清沢満之『有限無限録』を読む
第4章 天命に安んじて人事を尽くす──清沢満之「宗教的道徳(俗諦)論」を読む
第5章 『歎異抄』はいかに語り出されたのか──暁烏敏『歎異抄講話』『わが歎異抄』を読む
第6章 『歎異抄』が近代に語り出されるとき──暁烏敏『歎異抄講話』『わが歎異抄』再読
第7章 『歎異抄』の文学化・〈愛〉の教説──倉田百三『出家とその弟子』を読む
第8章 『歎異抄』と〈愛慾〉小説の成立──丹羽文雄『菩提樹』を読む
第9章 〈鈴木大拙〉なぜ「日本的霊性」なのか──鈴木大拙『日本的霊性』を読む
第10章 私は宗教的傾向をもつ人間である──三木清「親鸞」を読む
第11章 わが塔はいかに立つのか──野間宏『わが塔はそこに立つ』を読む
第12章 〈過去〉との読み直し的和解──野間宏『わが塔はそこに立つ』再読
第13章 この〈思想劇〉をどう読むのか──吉本隆明『最後の親鸞』を読む
第14章 僧にあらず俗にあらず──吉本隆明『最後の親鸞』再読
第15章 親鸞一人がためなりけり──滝沢克己『「歎異抄」と現代』を読む

書評/紹介情報

『西日本新聞』2014年10月19日 書評面(評:批評家・若松英輔)
『京都新聞』2014年10月19日 書評面(評:評論家・芹沢俊介)
(2014年10月19日:『山陰中央新報』『徳島新聞』『琉球新報』『神戸新聞』、『新潟日報』2014年12月7日)
『出版ニュース』2014年10月下旬号 Book Guideコーナー
『東京新聞』2014年11月16日 読書面「新刊コーナー」