平和と平等の浄土論
真宗伝統教学再考

著者
菱木政晴
定価
2,640円(本体2,400円)
体裁
四六判並製、208頁
ISBNコード
978-4-7684-7981-0
発売日
2020年9月
ジャンル
在庫
有り

内容紹介

往還する主体はわれら凡夫なのか。親鸞思想の重要な要素である「往還二回向」「仏身論」の解釈の歴史を、真宗伝統教学の大家・香月院深励の講義録『註論講苑』に沿いながら詳解する。非戦を唱え自らが貧しい人々を済度するという、大逆事件で死刑判決をうけた真宗大谷派僧侶・高木顕明の親鸞思想解釈を検証する、著者渾身の浄土論。

著者略歴

1950年金沢市生まれ。宗教学者、真宗大谷派僧侶、元同朋大学特任教授。長年にわたり真宗大谷派の戦争責任を追及すると同時に政教分離訴訟などの平和と人権の市民運動にも関わる。
著書に、『浄土真宗の戦争責任』(岩波ブックレット)、『解放の宗教へ』(緑風出版)、『非戦と仏教──「批判原理としての浄土」からの問い』、『市民的自由の危機と宗教──改憲・靖国神社・政教分離』、『ただ念仏して──親鸞・法然からの励まし』、『極楽の人数──高木顕明『余が社会主義』を読む』(以上、白澤社)など。共著に『殉教と殉国と信仰と──死者をたたえるのは誰のためか』(白澤社)。翻訳書に、ホワイトヘッド『観念の冒険』(松嶺社)など。

目次

第一部 親鸞教学の骨格としての『浄土論註』
 第一章 高木顕明の非戦論の真宗教学的背景
 第二章 香月院『註論講苑』文前玄義の概要
第二部 真宗伝統教学再考──プラグマティズムとしての仏身・仏土論
 第三章 真宗伝統教学再考──高木顕明の還相回向論のルーツを求めて
 第四章 浄土教における仏身論とプラグマティズム
 第五章 プラグマティズムとしての仏身論──神の仮説と方便法身

書評/紹介情報

『中外日報』2020年10月2日:「社会を変革する衆生の主体性問う」