女性たちで子を産み育てるということ
精子提供による家族づくり

著者
牟田和恵、岡野八代、丸山里美
定価
1,980円(本体1,800円)
体裁
四六判並製、208頁
ISBNコード
978-4-7684-7987-2
発売日
2021年10月
ジャンル
在庫
有り

内容紹介

 海外では珍しくなくなってきた、精子提供によって子を産み育てる女性カップルたち。
 本書では、日本と海外での、女性たちが妊娠出産するための技法と子育ての経験、出会う困難やジレンマとその解決方法などを、当事者たちへのインタビュー調査にもとづいて紹介する。
 性的指向にかかわらず、夫や特定の男性パートナーなしで家族をつくりたいという女性たちがその願いを叶えること、またこうした家族が不利益をこうむることなく暮らせる社会となることは、決して特別なことでも突飛なことでもない。
 男女対の夫婦と子どもという「普通」の家族だけではない、オルタナティブ家族への展望をひらく書である。

著者略歴

■牟田和恵(むた かずえ)
1956年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科教授。専門は、社会学、ジェンダー論。
主な著書に、『架橋するフェミニズム──歴史・性・暴力』(編著、無料電子書籍)、『ジェンダー家族を超えて──近現代の生/性の政治とフェミニズム』(新曜社)、『家族を超える社会学』(編著、新曜社)、『ジェンダーで学ぶ社会学』(共編著、世界思想社)、『部長、その恋愛はセクハラです!』(集英社新書)、『ここからセクハラ!──アウトがわからない男、もう我慢しない女』(集英社)など。訳書に、『女たちの絆』(D. コーネル著、共訳、みすず書房)、『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』(E. キテイ著、共監訳、白澤社)など。
■岡野八代(おかの やよ)
1967年生まれ。同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。専門は、西洋政治思想、フェミニズム理論。
 主な著書に『法の政治学──法と正義とフェミニズム』(青土社)、『シティズンシップの政治学〔増補版〕──国民・国家主義批判』(白澤社)、『フェミニズムの政治学──ケアの倫理をグローバル社会へ』(みすず書房)、『ケアするのは誰か?──新しい民主主義のかたちへ』(J.トロントとの共著、白澤社)など。訳書に『女たちの絆』(D. コーネル著、共訳、みすず書房)、『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』(E. キテイ著、共監訳、白澤社)、『ケア宣言──相互依存の政治へ』(ケア・コレクティヴ著、共訳、大月書店)など。
■丸山里美(まるやま さとみ)
1976年生まれ。京都大学大学院文学研究科准教授。専門は社会学、ジェンダー論、質的調査論。
主な著書に『女性ホームレスとして生きる──貧困と排除の社会学〔増補新装版〕』(世界思想社)、『質的社会調査の方法──他者の合理性の理解社会学』(共著、有斐閣)、『貧困問題の新地平──〈もやい〉の相談活動の軌跡』(編著、旬報社)、Living on the Streets in Japan: Homeless Women Break thier Silence(Trans Pacific Press)など。

目次

序   同性カップルが子を産み育てるということ
第1章 それぞれの家族たち──日本での調査から
第2章 それぞれの家族たち──海外での調査から
第3章 女性たちだけでの子育てを考える──彼女たちが示唆する「家族」の可能性
第4章 女性たちがつくる家族を通してみる「家族」とケア
   1 女性だけでつくる家族がひらく可能性(牟田和恵)
     ──子の「出自を知る権利」に潜む異性愛家族規範の陥穽
   2 女性たちがつくる家族と「ケアの倫理」(岡野八代)
終 章 女性たちがつくる家族もあたりまえな社会へ

書評/紹介情報

「図書新聞」3534号(2022/3/12)評者:藤井ひろみ先生