結婚の自由
「最小結婚」から考える

著者
植村恒一郎、横田祐美子、深海菊絵、岡野八代、志田哲之、阪井裕一郎、久保田裕之
定価
2,750円(本体2,500円)
体裁
四六判並製、256頁
ISBNコード
978-4-7684-7991-9
発売日
2022年11月
在庫
有り

内容紹介

「結婚」とは何か、婚姻制度は必要か否か、改革は可能か。性愛関係を問わず、異性か同性かを問わず、2人かそれ以上かを問わない「結婚」はあり得るのか。
婚姻制度は、国が法的・経済的・社会的手当を配分する制度である。米国のフェミニスト哲学者エリザベス・ブレイクはその著書『最小の結婚』で、「結婚」によってもたらされる公的支援は全ての人にアクセス可能でなければならないとして、ケア関係を柱とする「最小結婚」を提唱した。
本書はブレイクの「最小結婚」をもとに、7人の執筆者が「結婚」について哲学的・政治学的・社会学的に考察した刺激的な論集である。

著者略歴

■植村 恒一郎(うえむら つねいちろう)(第1章)
 1951年生れ、群馬県立女子大学名誉教授、西洋近代哲学、時間論、ジェンダー論。
 著書に『時間の本性』(勁草書房、第15回〔2002年度〕和辻哲郎文化賞受賞)、訳書にカント『視霊者の夢』(岩波版・カント全集・第3巻)など。
■横田祐美子(よこた ゆみこ)(第2章)
 1987年生まれ。立命館大学衣笠総合研究機構助教。専門は現代フランス哲学、エクリチュール・フェミニン、表象文化論。
 単著に『脱ぎ去りの思考──バタイユにおける思考のエロティシズム』(人文書院)、共訳書にカトリーヌ・マラブー『抹消された快楽──クリトリスと思考』(法政大学出版局)など。
■深海菊絵(ふかみ きくえ)(第3章)
 1980年生まれ。日本学術振興会特別研究員(RPD)。専攻は文化人類学。
 主な著書または論文に『ポリアモリー 複数の愛を生きる』(平凡社新書)、「性愛:他者と向き合う」『文化人類学のエッセンス──世界をみる/変える』(春日直樹・竹沢尚一郎 編、有斐閣アルマ)など。
■岡野八代(おかの やよ) (第4章)
 1967年生まれ。同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。専攻は西洋政治思想、フェミニズム理論。
 主な著書に『フェミニズムの政治学──ケアの倫理をグローバル社会へ』(みすず書房)、『ケアするのは誰か?──新しい民主主義のかたちへ』(J.トロントとの共著、白澤社)。訳書にケア・コレクティヴ『ケア宣言──相互依存の政治へ』(共訳、大月書店)など。
■志田哲之(しだ てつゆき)(第5章)
 1971年生まれ。早稲田大学人間科学学術院教員。社会学専攻(セクシュアリティ研究、ジェンダー研究、家族研究)。
 最近の論文として「忘れられた欲望と生存──同性婚がおきざりにするもの」菊地夏野・堀江有里・飯野由里子編著『クィア・スタディーズをひらく2 結婚,労働,家族』(晃洋書房)など。
■阪井 裕一郎(さかい ゆういちろう) (第6章)
 1981年生まれ。大妻女子大学人間関係学部准教授。博士(社会学)。専門は家族社会学。
 主な著書に、『仲人の近代──見合い結婚の歴史社会学』(青弓社)、『改訂新版 事実婚と夫婦別姓の社会学』(白澤社)など。翻訳書に、エリザベス・ブレイク著『最小の結婚』(共訳、白澤社)。
■久保田 裕之(くぼた ひろゆき)(第7章)
 1976年生まれ。日本大学文理学部社会学科教授。家族社会学、福祉社会学、政治哲学。
 著書に、『他人と暮らす若者たち』(集英社新書)など。訳書に、『最小の結婚──結婚をめぐる法と道徳』(監訳、白澤社)など。

目次

第1章 「結婚」に求めるものは「人それぞれ」──『最小の結婚』の主要論点(植村恒一郎)
第2章 結婚式のデモクラシー──限りあるなかでの平等を求めて(横田祐美子)
第3章 一夫一婦制を超えて/のなかで生きる──米国ポリアモリーの現在(深海菊絵)
第4章 「結婚」はどこまでも必要なのか?──ケア関係からの照射(岡野八代)
第5章 結婚よ、さようなら(志田哲之)
第6章 婚姻制度の廃止か、改革か?──パートナー関係への国家介入について(阪井裕一郎)
第7章 性愛規範を超えて──最小結婚と非性愛的ケア(親密性)関係(久保田裕之)

書評/紹介情報

『週刊エコノミスト』22.12.25/23.1.3合併号「読書日記」(荻上チキさん)で紹介
『図書新聞』2023年4月1日号(評者:山本千晶先生)