愛の労働あるいは依存とケアの正義論〔新装版〕

著者
エヴァ・フェダー・キテイ(Eva Feder KITTAY)著/岡野八代・牟田和恵 監訳
定価
4,290円(本体3,900円)
体裁
四六判並製、384頁
ISBNコード
978-4-7684-7996-4
発売日
2023年5月
ジャンル
在庫
在庫あり

内容紹介

子育て、障碍者介助、病人や高齢者介護など、主に女性たちが担ってきた依存者へのケア労働は、これまで平等や自由の構想の外に置かれてきた。
重い知的障碍を持つ娘との生活を送ってきた哲学者キテイが、ロールズの正義論を大胆に批判し、子育てや介護などケアを担ってきた女性たちの経験を包摂する真の男女平等はいかに実現されるかを問い、公正でケアの行きとどく社会への道しるべを提示する。ケア倫理の名著“LOVE'S LABOR”の邦訳新装版。

著者略歴

【著者】エヴァ・フェダー・キテイ(Eva Feder KITTAY)
ニューヨーク州立大学ストーニー・ブルック校名誉教授。グッゲンハイム・フェロー(2014)。アメリカ哲学会東部支部会長(2015-16)。専門は、西洋哲学、フェミニスト倫理学、社会思想。
著書に、Metaphor: Its Cognitive Force and Linguistic Structure (Oxford: Oxford University Press, 1987)、Leaning from My Daughter: The Value and Care of Disabled Minds (Oxford; Oxford University Press, 2019)。共編著に、The Subject of Care: Feminist Perspective on Dependency (Totowa: Rowman and Littlefield, 2003)、『認知障碍――道徳哲学への挑戦』Cognitive Disability: A Challenge to Moral Philosophy (Oxford: Wiley Blackwell, 2009)など。
【監訳】
岡野八代 (おかの やよ)
同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。専門は、西洋政治思想、フェミニズム理論。
牟田和恵 (むた かずえ)
大阪大学名誉教授(人間科学研究科)。専門は、社会学、ジェンダー論。

目次

第Ⅰ部 愛の労働──依存は何を要請しているのか
 第1章 依存と平等の関係
 第2章 脆弱性と依存関係の道徳
第Ⅱ部 政治的リベラリズムと人間の依存
 第3章 平等の前提
 第4章 社会的協働の恩恵と負担
第Ⅲ部 みな誰かお母さんの子どもである
 第5章 政策とケアの公的倫理
 第6章 「私のやり方じゃなくて、あなたのやり方でやればいい。セーシャ。ゆっくりとね。」──個人的な語り
 第7章 違いのある子どもへの母的思考