天狗説話考

著者
久留島 元
定価
2,860円(本体2,600円)
体裁
四六判並製、256頁
ISBNコード
978-4-7684-7999-5
発売日
2023年11月
在庫
有り

内容紹介

天狗は、古代日本では飛行する悪霊として、人に取り憑き、仏道修行をさまたげる天魔と同一視された。以来、飛行する悪霊という基本的性質は共通しつつ、中世の「天魔」から、「山の神霊、怪異」へと変化し現在に至っているのだが、その内実は単純ではない。本書はさまざまな要素が複雑にからみあって成長してきた天狗像を「天狗説話」に注目して解き明かす。
天狗説話の背景には、信仰心や恐怖心だけでなく、政治や宗教、あるいは娯楽や学問的関心があった。また、説話は文字資料だけでなく、絵巻や能・歌舞伎、昔話や芸能、マンガやアニメなど、あらゆるメディアを往還し、定着してきた。
日本文化史が織りなしてきた変化とパラレルに展開する天狗の文芸史。

著者略歴

1985年生まれ。同志社大学大学院博士後期課程修了、博士(国文学)。現在、京都精華大学講師ほか。東アジア恠異学会会員。関西現代俳句協会青年部部長。
博士論文「「天狗説話」の研究」(同志社大学)。共著に、東アジア恠異学会編『怪異学入門』(岩田書院)、『関西俳句なう』(本阿弥書店)、『江戸怪談を読む 皿屋敷幽霊お菊と皿と井戸』(白澤社)、大江篤編『尼崎百物語』(神戸新聞総合出版センター)、京都仏教説話研究会『説話の中の僧たち』(新典社)ほか。

目次

第一章 天狗像の形成
1 鞍馬天狗
2 愛宕山太郎坊
3 天狗像の原型
4 変化する天狗像
5 天狗の鼻が高いワケ
第二章 天狗の中世
1 彼岸からの声
2 魔道と天狗
3 戦乱と天狗
4 天狗は笑う
第三章 天狗銘々伝
1 是害房の冒険
2 天狗銘々伝
第四章 天狗の行方
1 天狗説話の広がり
2 江戸の天狗論
3 天狗とは何か 幕末から近代へ

書評/紹介情報

2024年2月10日『東京新聞』、11日『中日新聞』:「言葉が偶像を生むプロセス」(評者=田口洋美先生)