翻訳から広がる日本語
女ことば・男ことば・疑似方言

著者
中村 桃子
定価
2,750円(本体2,500円)
体裁
四六判並製、232頁
ISBNコード
978-4-7684-8008-3
発売日
2025年 12月9日
ジャンル
在庫
間もなく発売(2025年 12月9日)

内容紹介

飜訳ことばから日本と世界のつながりが見えてくる。
西洋のヒロインは闘う女であっても日本の女性がめったに使わない「女ことば」で話していることを指摘した『翻訳がつくる日本語』の著者が、翻訳語の面白さを進化させた! 「女ことば」「男ことば」「疑似方言」といった翻訳ことばはどのような役割を果たしているのか、また逆に翻訳ことばによって日本語はどのように変化しているのかを分かりやすく解説。翻訳言葉が楽しくなる新日本語論。

著者略歴

関東学院大学名誉教授。博士。専攻は言語学。
著書にGender, Language and Ideology: A Genealogy of Japanese Women’s Language (John Benjamins)、『新敬語「マジヤバイっす」──社会言語学の視点から』(白澤社)、『女ことばと日本語』(岩波新書)、『〈性〉と日本語──ことばがつくる女と男』(NHKブックス)、『「女ことば」はつくられる』(ひつじ書房、第27回山川菊栄賞受賞)、『ことばとフェミニズム』『ことばとジェンダー』(勁草書房)、『ことばが変われば社会が変わる』『「自分らしさ」と日本語』(ちくまプリマー新書)ほか。共著にThe Handbook of Language, Gender, and Sexuality (Blackwell)、『連続講義 暴力とジェンダー』(白澤社)、『ジェンダーで学ぶ言語学』(世界思想社)ほか。訳書に『ことばとセクシュアリティ』(三元社)ほか。

目次

第Ⅰ部 翻訳の中の「女ことば」──近づける翻訳
 第1章 外国人女性は「女ことば」で話す
 第2章 なぜ翻訳では女ことばが使われるのか──言語イデオロギー
第Ⅱ部 翻訳の中の「男ことば」──区別する翻訳
 第3章 西洋の若者は「翻訳版男ことば」で話す
 第4章 白人は使えない「男ことば」──言語ナショナリズム
第Ⅲ部 翻訳の中の「方言」──優劣を対応させる翻訳
 第5章 黒人が話す「疑似方言」
 第6章 優劣を対応させる翻訳──「○○ことば」から翻訳を考える
第Ⅳ部 翻訳から変わる日本語
 第7章 攻撃する女ことば──一九七〇年代「翻訳される言語」のイデオロギーの変化
 第8章 親疎で使い分ける女ことばと標準語──二〇〇〇年代「翻訳する言語」のイデオロギーの変化
第Ⅴ部 翻訳がつくるステレオタイプ──割り振る翻訳
 第9章 丁寧なアジア女性とカジュアルな欧米女性──人種との交差性
 第10章 気さくな欧米の高齢男性──年齢との交差性